S-330

極私的メモ。以前にしたとある質問に対するメーカー様からのありがたい回答、の事を思い出し、失くさないように、ここに記す。昔の機材に対する情報についてここまで詳しく書いてくれるというのは、素晴らしい事だと思うよROLAND株式会社。
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まず、S-330 のパラメーターにつきましては、MIDI インプリメン
テーションをご覧いただいたとおり、1 つのデータを送るのに、
2 つのアドレスが必要なパラメーターがいくつもございます。


一方、PCR-M30 の仕様では、1 つの操作子に対しては 1 つのアド
レスからなるエクスクルーシブ・メッセージしか送ることができ
ないため、2 つのアドレスでデータを送るには、2 つの操作子が
必要となります。


具体的な内容については、後ほど詳しく説明いたしますが、PCR-
M30 から S-330 の CUTOFF FREQ をコントロールすることはでき
ないと思われます。
ご期待に沿えず申し訳ございませんが、あしからずご了承ください。


以下で、S-330 の TVF CUTOFF FREQ のエクスクルーシブ・メッ
セージ組み立てについて、詳しく説明いたします。


●S-330 の TVF CUTOFF FREQ について


MIDI インプリメンテーションでは、TVF CUTOFF FREQ は以下の
ようになっています。


Offset
Adress Description
----------------------------------------------------------
04 4CH 0000 aaaa TVF CUT OFF
00 4DH 0000 bbbb 0-127
----------------------------------------------------------


また、Data set のエクスクルーシブ・メッセージは、以下のよう
に構成されます。


F0 41 DEV 1E 42 aa aa aa aa dd sum F7
(アドレス)(データ)


実際のアドレスは、Adress mapping of parameters の各ブロック
のアドレスに、オフセット・アドレスを加えた値となります。


TVF CUT OFF は Tone parameter のブロックですので、この
アドレス 00 03 00 00H に TVF CUT OFF のアドレスを加えると
以下のようなアドレスになります。


1 つ目:00 03 04 4C・・・・
2 つ目:00 03 00 4D・・・・


また、実際の値 0-127 につきましては、そのまま 16進数に直す
のではなく、いったん 2進数に直した値を上位/下位にわけ、
上位を 1 つ目のアドレスの「aaaa」の部分に、下位を 2 つ目の
アドレスの「bbbb」の部分に当てはめ、それぞれチェックサム
計算して送ります。


なお、Device-ID では、実際の S-330 のデバイス ID をご入力
いただきますが、S-330 上の表示は 1 から 16 でも、実際の値
は 0 から 15 と、1 つずれることになりますので、ご注意くだ
さい。(デバイス ID が 17 の場合、10H です)




例として、TVF CUT OFF の値を「100」にする場合に、実際にお送
りいただくシステム・エクスクルーシブ・メッセージを紹介いた
します。


●S-330 の TVF CUT OFF を「100」にするメッセージ


1. データ「100」を 2進数に直します。
10進数「100」= 2進数「01100100」


2. 2進数の値を上位/下位に分けます。
「0110」=上位「0100」=下位


3. それぞれを「aaaa(上位)」「bbbb(下位)」に当てはめる
と、以下のようなアドレスとデータになります。


・1 つ目:00 03 04 4C 01 10
・2 つ目:00 03 00 4D 01 00


4. それぞれのチェックサムを計算します。


5. 以下のメッセージができます。


・1 つ目:F0 41 DEV 1E 42 00 03 04 4C 01 10 1C F7
・2 つ目:F0 41 DEV 1E 42 00 03 00 4D 01 00 2F F7


-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-


以上のように、S-330 の TVF CUT OFF をコントロールするには、
2 つのエクスクルーシブ・メッセージを、上位 -> 下位の順で
送る必要があります。


そのため、リアルタイムに TVF CUT OFF を可変させていくには、
PCR-M30 のつまみなどでのコントロールは非常に困難であると
言えます。


例えば、上記のように「100」にする、というように、リアルタイ
ムに可変させるのではない場合は、2 つのボタンに上記メッセー
ジをアサインしておくことで、必ず正しい順でボタンを押せば、
値を「100」に設定することは可能かと思われます。


そのような方法でも構わなければ、PCR-M30 の Syex Assign で
メッセージをアサインしていただけますでしょうか。


なお、PCR-M30 にある B1 から L3 までの 9 つのボタンを使用
すれば、最大 4 つまでは、プリセットのように設定しておいて
使うことができます。
(B1->B2 で「100」、B3->B4 で「50」、L1->L2 で「127」など)
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