ヌィンテンドウディーエス

 ニンテンドウDSが売れているっぽい。無理からぬ事でしょう。自分も実際にやってみるまでは「なぜ2画面?」「なぜタッチペン?」とか思っていたが、DSのヒットに大いに貢献したソフトである「脳を鍛える大人のDSトレーニング」をやったら、そんな疑問が氷解した。タッチペンは漢字を書いたり画面上の数字を素早く選んだりする為であるし、2画面なのは左の画面(タテにして使う)で問題を見て、右の画面にタッチペンで書くためのものであるのだった。


 すなわちこの「脳を鍛える大人のDSトレーニング」は、このDSの形状あってこそ成立するゲームであり、また成立する面白さなわけです。そう思った時に、これは新しい、と思ったわけです。そしてこの「新しさ」こそ、任天堂任天堂たるゆえん、任天堂の伝統です。もちろんその革新の試み全てが成功したわけではありません。ディスクシステム(言わずもがな)、スーパーファミコンの下部にある差込口(何か取り付けられるようになっているのは確かで、何か予定はあったのだろう)、ヴァーチャルボーイ(一体何だった?)、64DD(会員制だったような・・・、あとMOTHER3は昔これで出る予定だったり)等々、むしろコケまくりです。まあ大きい会社だからこそ、コケても倒れないからこそ新しい試みもできる、という事はありますが、二輪車のように、走り続ける事でバランスを保つという、そういう主義というものはやはり素晴らしい事だと思います。


 そして何より素敵なのは、そのゲームへのこだわりっぷり。なんせDS、ゲームしかできません。ゲームしか出来ない、ゲームをする為のフォルム。それを機能美と言わずして何と言おう、ですよ。現代の家電は複合化がどんどん進んでいます。テレビも見られるパソコン、ブラウザにもなる携帯電話。使用してないので詳しい事は解らないのですが、テレビならリモコン一発でパシッと点いて、パシッと消えなければならないし、ブラウザなら簡単に文字入力が出来ないと意味が無いわけです。果たして、それが出来ているか、そうしなければならない事に気付いているか、という事を問いたいわけです。過去にラジカセとテレビが一体となったものが各社から発売されましたが、全部コケました。あれこそ複合化の勘違いの典型例です。その過去から学んでいるか?考えているか?と。


 つまり極端に言うと、現代デジタル機器の中でまともな道を進んでいるのはニンテンドウDSだけであり、それが結果として出たという事が単純に嬉しいと思う、という事です。あらゆるコンピュータ関連に携わる社は、80年代と同じく、「任天堂を手本にしろ」ってなもんです。