マルメ4

 スーパーなんてそこらにあったような気がしたのだが、いざそれを目的とすると、さてどこだっけ?みたいな感じで見つからない。しかも何を買ったら良いのか解らない。なぜならこっちではあまり弁当のようなものは売ってないのだ。


 まあとにかく、夕食を探し、ふらついた。最初は大型スーパーが見つからず、こじんまりとした店に何軒か入った。ちょっと怖い。とある店に入ったら、店番をやっているのが若者でずっとテレビゲームに興じている。いい若者が何故店番をやりながらゲームを・・・・?恐らく高校ドロップアウトもしくは高卒後何もしていないニート野郎、といった所であろう。結構ダークな気分が押しよせて来た・・・、そのうえ買いたいものは何もない。が、まあ缶チューハイを買ってさっさと立ち去る。


 さてどうしようと途方に暮れて、自転車を停めとぼとぼと散策していたら大型スーパーを発見。別にそれほどラッキーな事では無いかもしれないが、ラッキーと思った。それ程心身共に疲労困憊していた。その困憊っぷりはスーパー内でも影響は大きく、せっかくデカいスーパーに来たというのに、何を買うべきか悩み出してしまい、悩み出したら止まらない。何が最もベストな選択か、そのベストを選択しないと必ず後悔する!、みたいな脅迫観念に取りつかれていたように思う。持ち出しては戻し、何故かカゴを使わずに持ち物はいっぱいで商品を落としたりもしていた。今にして思えばこの時が旅行中で一番参っていた時間帯であったと思う。*1


 かなり悩んだ。まったく、弁当的なものがあればそれで済むものの、調理された品というものが在りやがらない。しかもパンばっかりと来てる。一体こっちの人間は何を食べてるんだ?と今更ながら疑問が湧いた。はっきり言ってこっちに来てからというものパン食ばかりであったので、ここでまたパンを買うわけには行かなかった。何か、違うものを。ここらで少し気分の変わるものを食べ(させ)たかった。スーパーの中だというのに、非常にうろつき回った。うろつけばうろつく程に脳機能が低下して行く、という妄想とも現実ともつかぬ思い。しかしろくなものがありゃしない。


 そんな中、目立たない小さな冷蔵ボックスを発見、覗いてみると・・・その中に寿司があった! 思わずすかさず手に取ってはみたものの、見た目がいまいちでおいしそうでは無い。が、寿司を取ったその下にはなんやら巨大なサラダが!しかも知子の好きなエビが大量に入っている。これだ!と思った。これさえあれば、あとは何を買っても、である。こうしてようやく、独りぼっちの戦いに終止符が打たれたのであった。


 しかしまあ悩みに悩みぬいた結果の答えがサラダという事実。サラダに対する見識を改めなければならなかった。サラダあなどれじ、否、サラダ偉大なり。サラダは国境を超え、民族を超えた!サラダがあれば何でも出来る!等というような事を考えながら、ホテルへの帰り道を急いだ。

*1:多分一人で外国の街をうろつくという事自体が、まあ二人とは大きく違うのでは無いか、だから二人だという事は非常に偉大なのではなかろうか、と。