初日

 北欧はスウェーデンデンマークに行って来たのだが、色々小さなネタやなんかがあり過ぎて何を書いたら良いのか逆に解らないので、リハビリがてら、適当に、あった事を順番に書いてみようと思う。


 先ず飛行機で11時間。11:45出発で時差がマイナス7時間。機内では本を読んだり、機内食を食べたりビールを飲んだりガイドブック読んだりわくわくしたりボーっとしたり尻が痛いのを何とかしようとしたりしてたら、いつの間にかコペンハーゲンの空港に着陸と相成っていた。時刻は夕方。時差ボケがあるかと思いきや、機内での時間や空間がもうそれ自体で独立した異次元だったので、ボケも何も、何と言うか脈絡の無いワープみたいな。時間とは、意識と密接に結びついた抽象的概念で、それぞれの意識で時間の流れ方や感じ方は変わってくるのであろう云々・・、まあそんな感じで、単純に言うと、昼に出て、夕方どこかに着く事は、例えば国内旅行では当たり前であり、そんな感じで受け入れられたという事でした。


 コペンハーゲン空港に降り立った最初の印象は素晴らしかった。実はその印象を取り出す事はもう難しくなっているのだが、まあ素敵な空間だと思った。実に異国という感じがした。見るもの見るものに徹底された統一性を感じる。そういう統一性は経験から取り出せるものは、仙台メディアテークくらいのものだ。しかし広さが違う。建物も大きければ、窓から見やる外までも美学が行きたわっている。日本では、これがありえないわけだ。そして無音。やけに静かだなと思った。


 しかしすぐにストックホルム行きの飛行機に乗らなくてはならないので感慨にふけっている場合では無い。電光掲示を見てゲートを確認、すぐさまゲートに向かって早歩きであった。空港は広かったが、表示やなんかは意外とわかりやすく、感心した。また、安心した(韻)。なんせ異国、もし解らなかったからと言って何と尋ねよう、その尋ね方の方がよっぽど解りにくいやも知れぬ。


 飛行機は今まで経験した事のない小型クラスのもの。大げさでないカジュアルな飛行、という概念は飛行機に対する印象を多少変えたか。席に行ったらなんか本がおいてあって誰の?とか言ってたら右端に居たスウェーデン人とおぼしき男性が「スミマセン」と一言。一瞬ビビるが彼も同便で日本からやって来た男性であろうとふんで、その後知子がその話をふって来た時も、奴は聞こえたら意味を解するであろうとふんで、小声で対応した、といったひとこまが印象深い。


 ストックホルムの空港に到着。これもかなり素敵な空間であった。しかしやたらと閑散としていてさびしげである。まあこれはその時は解ってなかったが、そもそも東京なんかに比べると当地は人口自体が少ないわけであり、この後どこに行っても人が多すぎるという事は無かった。


 さてここでの最初の仕事として円をクローナに換金しなければならなかった。言葉の本を見て、英語を頭に入れて臨む。しかしいきなりわけの解らない事を何か言われて戸惑う。要は「線まで下がれ」という事であった。換金所でのひったくりのトラブルを防ぐ厳しいとり決めであり当然なのだが、なんか窓口が二つあって自分の行った方はやってなかったという事であり、まあよくある微妙な失敗というやつなのだが、言葉が解らない事によりそんな小さな事が混乱の元となるわけだ。その後換金時もあまりスムースには行かず、こりゃなかなか厄介だなと先行きが不安になる。


 次にストックホルム中央駅行きのアーランダーエクスプレスの切符購入。ここで事件が。切符購入は自動券売機で行うわけだが、なんか爺さんがやたらと時間かかっていて、業を煮やした知子が別の券売機に向かった。その途中で首から下げていたデジカメの紐部分の金具が取れてデジカメを落としてしまった。これにより元々調子の悪かったデジカメがなおいっそう調子が悪くなり、その場ではほとんど再起不能かに見えた(まあこの後対応策を見つけなんとかはなるのだが)。落ち込んだ気分のままアーランダーエクスプレスに乗り込む。これもまた素敵な車内である。いちいち手すりが黄色だったりする所が日本には無い遊び心のデザインである。まあ向こうからすれば遊び心では無く、スピリットといった所だろうが。


 中央駅に到着。ここから地下鉄に乗らなくてはならない。地下鉄の入り口は結構簡単に見つかった。入る。改札が見える。閑散。さてどうしよう状態。本を見る。チケットを買う時紙に書いて渡しても良い的な事が書いてあったので、対話コンプレックスにかかっていたという事もあり、その方式を取り入れる。しかし本に書いていた一例に余計な「110kr」という金額の記述があった為、そこの部分が値上がりしており、そこをつっこまれてまた余計な混乱を味わうはめに。


 改札を通り中に入り込むと、これが広い。遠い。いちおう駅員が電車への行き方を教えてくれていたのだが、まあ解るだろうと適当にヤーヤー*1言っていた為、不安になる。でまあ色んな電車が行きかう辺りには出たが、どれがどれだか見方がさっぱりである。で、重いスーツケースを持ちながら上ったり下ったりの難儀をした。その後だんだん見方が解って来て、なんとか目的の電車を見つけ出して乗り込んだ。一度解ったらもう簡単なのだが、外国の地下鉄なんかは最初はやはり大変だなと思った次第。


 さて目的のRadmansgatan駅に到着。さて出口はどっちかというわけだが、出口がどっちという問題は日本ではいつも知子に聞いているので*2ここも知子に聞いて、勘で行った。で改札。当地では改札を出る時には何も要らないのだがこの時は多分見せてたと思う。今にして思うと微笑ましいが、まあ最初はどうしても、である。


 さて地下鉄というやつ、地図上のどこから出るか解らないわけで出てからが大変である。と思っていた所、呆気なく地図上の店が見つかる。知子の勘が当たったというわけだ。その上場所がズバリだったわけだ。これはラッキーだと思った。一番大変な時にスムースに行くというのはデカいのである。あとは簡単にホテルに辿りつく。ここでもフロントで余計な事を聞かれてまたまた対話はスムースには行かないのであるが、なんとか部屋のキーとなるカードを預かり受け、実にほっとする。エレベーターに乗り込み上る、部屋を見つけドアを開ける。電気を点ける。(老若男女白人黒人黄人、人類永劫の)緊張の一瞬。狭くない!快適な丁度良いサイズである。心底ほっとしてデカいベッドになだれこむ。柔らかい! 旅というもの、ホテル良ければ全て良し、である。というのは嘘だが、ホテルで過ごす時間が重要な事は間違いない。あとはのんびり風呂に入ったり明日の予定をたてたりなんだりして、いつの間にやら眠りについた。

*1:エス、はい、の意

*2:自分は方向音痴である