4月


 季節が移り変わり、身の回りの世界の温度や匂いが移り変わり、その結果人は1年前、2年前、3年前と、同じ頃の事を思い返す。4月は出会いの時期であり、去年は北欧旅行の季節でもあり、思い返すだけでもう胸がいっぱい。
日々生活していて、ふと思い返す、旅行での小さな一時。普段の生活では忘れてしまう程の一時が、永遠?かどうかは解らないが、はっきりと自分の中に焼きついているのだ。地下鉄のホームや、エレベーターのボタン、トイレの内装などの、ほんの小さな一時が。これが旅行の醍醐味なのだろうか。やってる最中はもちろん大変な事も多いが、まったくノーリスクかつ暇ですらある状況においてそれを思い返す事は、実に甘美だ。20代でももはや、人間の半分はそんな記憶で出来ているのではないだろうか、とすら。とりあえずそんな回想主義を、寺尾聡イズムにのっとれば、[Reflections]と呼ぶ。4月という季節は実にReflectionsだらけで、今月中もう視線が常に遠いかも。