ジグマー・ポルケ


 もう10月も下旬、すっかり秋も深まりめっきり秋、そして秋と言えば芸術の秋という事で、こないだ、上野の森美術館でやってるジグマー・ポルケ展に行ってきた。というのも、何故か会社で招待券をもらったからであった。元々ポルケ展をやっている事については知っていたので、渡りに船のラッキーであった。


 とはいえジグマー・ポルケについての元々の前知識というものは皆無であった(まあ大概の人がそうだろうが)。
 しかし、実際のところ、ジグマー・ポルケ、凄い。代表作で今回の個展のタイトルにもなっている「不思議の国のアリス」なる作品について。


 まずバックは布であり、しかも既製品である。しかもなんかわけわからないサッカーの柄のついた、例えるなら小学生の給食袋やら体育着袋に使われそうな、どうでもいい感じの笑える布。それをドット柄の布と張り合わせて、その上に絵本の挿絵をそのまま模写して描く。右には謎のスポーツ選手。うーん、なんともポップアートポップアートの定義など知りませんが、自分が常に刺激を受けるのは、自分の中でポップアート感を感じる作品であり、この作品なんかはもう本当最高!って感じ。


 そしてポップアートかつ、サイケでドラッギーでもあります。ドットは可愛らしい反復模様に合致したメルヘンチックなアリスかつ反復模様つながりでのアホらしいドラッギーな反復模様に合致したスポーツマンのシルエット。アリスの挿絵右下に毒(?)キノコ、上には謎の人の顔。


 なんというか、素晴らしいインストゥルメンタル音楽のような、抽象的な完成感に満ち満ちております。本当音楽も美術も目と耳の違いでしか無いというか。この作品を音楽に例えるならば、リエゾンダンジュルーズやDAF(やっぱ、ゲルマン魂?)のようなドラッギーなシンセの反復をバックにサンプリングのっけて狂おしいリズムで仕立てた素晴らしい音楽が、頭の中で鳴り出します。


 またこの作品ばかりで無く、どの作品も刺激的で、特にポルケの十八番ともいえるであろう印刷における網点の手書きによる表現と、魔方陣シリーズ(数字をキャンバスに均等に配置し、それを数字の順番に線で結ぶ事により、魔方陣のような模様が描かれる。これが数字数を変え位置を変え、何枚も作品がある)には特に驚かされた。


 ジグマー・ポルケ展は10月いっぱいなので、今週末などもまだやってますので、もしも行こうと思ってたけどまだ行ってないなんて人は、行った方が良いですよ。まあ自分は無料で行ったわけですが、1000円払っても見ておかなければならないものだったと思います。
http://www.ueno-mori.org/special/sigmar_polke/