停滞

 昨日サンシャインに行ったら古本市みたいなのをやっていた。こういう類のはよく色んな場所で催されてはいるが、大体大した事のないものだ。しかし昨日のは違った。いや、違ってないかもしれないが、自分の中での捉え方として違った。やたらと興味深く、やたらと楽しいのだ。何故か。
 仮説1・本の並べ方のせいかもしれない。並べ方に多少の秩序はあるものの、全く期待の出来ないうっすらとした秩序であり、基本的にはかなりのミクスチャーな為、否応なしに様々なジャンルに対するありもしない興味がかきたてられるのだ。これは売り手側の戦略だろうかと思うほどに、その無秩序ながらもぼんやりとしたグラデーションが、自分の中の興味のこれまたぼんやりとしたグラデーションと妙にシンクロナイズするというかなんというか。
 仮説2・もしくはただ「古い」というだけで自分にとって興味をかきたてられるものであるという事。例えば、いかな内容の雑誌であろうとそれがその時代のよどんだ空気をパッケージングしているかと思うと、その事だけで興味をそそられるのだ。


 結局雑誌を2冊買ったのだが、その内の一冊は2003年末の「REMIX」誌で、2003年末といえば今から1年以上前という事になるのだが、それがあたかも最新情報であるかの如く自分の中で吸収された。これはちょっとやばい事なのではないだろうか。明らかに自分が一年以上遅れている、もしくは時代の流れが異常に遅い、どちらかだ。というか多分両方だ。
 90年代は色々あった。今にして思うと、これでもかというほどに色々活発に動いていた。それぞれがそれぞれ自由な表現を活発に行い、それぞれでありつつもそれが流れとなり、その流れがまたそれぞれの表現を活発にしていった。
 むしろその反動としての現在の停滞ではあるまいか、と願う。あと古いものだけにやたらと興味や関心が行ってしまう自分の停滞なのだが、これはそんな面白くない時代のせいと歳のせいの両方だと思うが、なるべく前者のパーセンテージが多からん事を願う。