初恋スキャンダル

 漫画喫茶で漫画を物色していると、ついつい80年代ものに目が留まる。ノスタルジーか、時代考証的興味か。何かは知らぬが、なんだか、あたたかい。90年代を経て失われてしまった、純情な雰囲気が、そこにはきらめきながら、刻まれているように思う。一般に「夏子の酒」等で知られる、尾瀬あきら先生の出世作、「初恋スキャンダル」は傑作。
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 タイトルがいかにも80年代的な安っぽいB級感が漂うが、そこは時代の雰囲気で適当につけたかつけさせられたか、とにかく内容とは全く関係の無い、羊の皮をかぶった狼である。幼なじみ二人のもどかしい恋愛模様を中心に、周りの人物達の恋、友情、家族、学校生活などが様々に展開してゆく。若年者達ゆえの様々な青さが、時に微笑ましく、時に痛々しく、大人になった自分の感情に、訴えかける。正に青春とはこの事か。若い時代に戻りたいとは全く思わないが、若さとはまったくもって過渡期の美しさである、などと似合わない事を思わされる羽目になる。